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枕草子

卯月の晦日に、はせ寺にまうづとて、淀のわたりといふものおせしかば、舟に車おかきすへてゆくに、しやうぶこもなどの末みじかく見えしお、とらせたれば、いとながヽりける、こもつみたるふねのありきしこそ、いみじうおかしかりしか、たかせのよどには、これおよみけるなめりと見えし、三日といふに帰るに、雨のいみじう降しかば、さうぶかるとて、笠のいとちいさきおきて、はぎいと高きおのこわらはなどのあるも、屏風のえにいとよくにたり、