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重修本草綱目啓蒙
十/湿草
甘蕉 ばせおは(○○○○)〈和名抄〉 にはみぐさ(○○○○○)〈古歌名〉 ばせお(○○○)〈今名〉 うどんげ(○○○○)〈東鑑、花の名、〉 一名苞苴〈事物異名〉 扇仙〈群芳譜〉 扇子仙〈事物紺珠〉 草帝〈同上〉 緑参差〈同上〉 伝且〈同上〉 翠旌〈名物法言〉 緑天〈秘伝花鏡〉 羅襦鬼〈暌車志、葉の名、〉元来和産なく、南方のもの故に寒お畏る、唐山にて南方には品類多く、北方には隻一品と雲、本邦もたヾ一品なり、花お生ずれば、傍より小苗お生じ、本根は枯る、東鑑に此花お優曇花(うどんげ)と雲、年々は花さかざる故なり、恭も経六年方有花と雲、花の形最大なり、一尺余の長さの、粗くして節多き茎下垂して、其端に一花あり、黄白色にして〓花のつぼみの形ちの如し、集解に似倒垂莟萏と雲は是お指なり、花弁多して数十重あり、一日に隻一弁開き落つ、弁ごとに中に蘂多あり、実は茎の本に連り生ず、長さ一寸許、径五六分、五稜にして緑色、熟せずして落つ、北間者但有花無実と雲是なり、嶺南には紅熟し、米穀に代る者ありと雲、本邦古は庭に栽ることお忌、故ににはみぐさと雲、唐山にも屋内不可多種、芭蕉久而招祟と、遵生八揃に見たり、