[p.1142][p.1143]
農業全書
四/菜
蘘荷みやうがは、樹の下其外日かげ、陰地お好む物なり、二月に根お分てうゆべし、〈一説に鉄おいむ、鋤にてほるべからずともいふ、〉一度うへて、年久しく其まヽ置て、さかゆる物なり、二月比草あらば取去、糞土おおほひ置、秋花お取、十月上おふみ付、茎葉お枯し、ぬかあくたなど多くかけおけば、来年よくさかゆる也、又是に夏秋の二種あり、五六月根のわきより花お生じ、秋までも相つヾきて生ず、是お夏みやうがと雲、又七八月花出るお、秋みやうがと雲なり、ともに料理によき物なり、夏お取分作るべし、諸菜の絶間にありて賞玩なり、めうがは専樹木の下などに種たるがよし、若さやうの地なくば、つねの畠にうへ、其わきにかきおゆひ、上に棚おかまへ、薯蕷葡萄、其他何にても、蔓のはひまとひて、上おおほふ物の類お側にうゆれば、みやうがさかへ、両様の利あり、