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清良記
七上
生姜苛類之事一生姜 十月に種子お取て、三月に植、但寒に痛ゆへ、いづくにても柿の葉の間より雲お見て、雲の見へざる時お、時節と心得植る吉、旱に痛ゆへ、少ばかり水気の有畑、又半日は陰の有畑吉、木かげ薮かげなど吉といへ共、全くの陰は悪し、半日二時之内陰有所吉、種子置にくき物也、又種子取時分お大事にす、今大略は三霜四霜あてヽ取たるよし、扠生姜は遅く座取て、八九月迄も子お生ず、其若根はいまだ実いらず、其不熟なるお同じごとく取置故、それより朽る、又朽ずともそれは種子にならず、それおより分て、実のよく入たるお種子にすれば吉、夏秋旱の年には座取遅し、故に実不入、其年の生姜は腐安し、夏中雨繁く、秋旱の年には吉、可心得、一唐苛 肥たる土に早く植て吉、是もしやうが唐胡麻などのごとく、末久敷実のるゆへ、遅く植ては実少し、早ければいか程も実多くなる、種子は七八月取、二月始に植、