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重修本草綱目啓蒙
九/芳草
高良薑 くまたけらんの類 一名埋光烏薬〈薬譜〉 孽花〈八閩通志〉 比目連理花〈主会新篇〉 花一名豆〓花〈夢渓補筆談〉略して良薑と雲、薬舗に舶来のものあり、先年福州より種お伝ふる、くまたけ蘭と呼もの此類なり、その草寒気お畏る、故に冬月外に置けば腐り易し、屋内に入置べし、苗の高さ四五尺許、葉長さ二尺余、厚くして短毛あり、薑葉に似て光沢あり互生す、切れば樟脳の香あり、当年出たる幹冬枯れざれば、翌年六月に至り、その梢に花お開く、然ども多くは冬の中に茎枯れやすし、その花初出るとき葉にて巻く、後に葉ひらけば花の穂六七寸許、茎花ともに白色にして、光ありて〓花のごとし、花の形鳳仙花に似たり、而して鳳仙花は二弁、これは一弁なれども、二弁ならびたる闊さなり、内に黄条紫斑点あり、希に実お結ぶ、無患子(むくろじ)の大さなり、京師にては熟せずして落つ、此根形色共に良薑に似たり、然れ共気味薄く、舶来の子の形も亦異なり、故に良薑の一種とすべし、