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大和本草
七/花草
檀特花 是亦紅蕉の類なり、葉は恰芭蕉に似て小なり、葉長き事一尺余、五月抽茎高き事四五尺或六七尺許、鮮紅花お開く事、五月より九月にいたる、茎頭に数花連り開く、花長く不全開、花落て結実こと他物より早し、実の形蒼耳子の如く大如大拇指少長し、殻の内に実あり、如蓮肉堅し、秋実熟したる時早くまくべし、生じやすし、又春実おまくべし、寒お畏るヽ事如紅蕉、寒おふせぎて十月より根お向南、屋下にうへ養ふ事も紅蕉の如くすべし、生しては甚繁茂しやすし、糞お忌む、胡麻糟に宜し、稲若水雲、薬甫回春日曇花、花紅子堪串珠微香、是檀特花なるべしと、