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草木育種
下/葉或実視べきもの
幽蘭(らん)〈本草〉 秋蘭〈事物紺珠〉なり、秋花あり、又葉に斑あるものお地軸(こんりんざい/○○)、又こヽんりん(○○○○○)などヽいふ、又対馬国に産する、青幹蘭紫幹蘭(○○○○○○)〈広東新語〉等あり、俗に寒蘭(○○)といふ冬花あり、又漢土より素真蘭(○○○)と称して舶来あり、其葉小蘭に似て花の形建蘭(らん)のごとく色純白くして背緑色お帯、其香又愛すべし、蘭中の奇品なり、又〓蘭(めらん/○○)は葉短し、小蘭(○○)は葉短く狭し、花の香気甚勝たり、又なぎ蘭(○○○)は土佐国紀伊国等に産す、葉の幅七八分長さ三四寸にして、形状竹柏(なぎ)の葉のごとく、花は蘭に似て小し、又琉球より来る鳳蘭(○○)〈五雑俎〉あり、俗に菖蒲蘭といふ、葉は建蘭に似て少し軟く、長さ二三尺、十月花あり、又所々山中に生ずる報春先(しゆんらん/○○○)〈花鏡〉あり、葉は小蘭に似て闊く、春花お開ゆへ春蘭〈蘭譜〉と名く、其外蘭の類多し、又蘭の類に非して蘭の名あるもの甚多し、