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重修本草綱目啓蒙
十六/石草
石斛 すくなひこのくすね(○○○○○○○○○)〈和名抄〉 いはぐすり(○○○○○)〈同上〉 すくなひこぐすり(○○○○○○○○)〈大同類聚方〉 みたから(○○○○)〈同上〉 いはまめ(○○○○) いはどくさ(○○○○○) せんこく(○○○○)〈紀州〉 ちくらん(○○○○)〈薩州〉 一名長生草〈物理小識〉 百丈鬚〈薬譜〉 釵斛〈医級〉 石䈸草〈康熙字典〉今は和漢通名、山中岩石上に生ず、茎は木賊の如くにして細く、黄緑色、寸余一節、節ごとに一葉お生ず、形竹葉に似て小く、厚く光りあり、茎長さ三四寸多く叢生す、夏旧茎の節の下に二花並び生ず、形白及(しらんの)花に似て白色、又粉紅色なる者あり、紅色なる者は希なり、筑前土州には淡黄花なる者あり、形小くして穂おなして生ず、其根樹皮に生じ、石上になし、共に花後実お結ぶ、蘭莢(らんのみ)に似て小なり、九州地方に生ずる者、茎長く、葉花も又大なり、集解、麦斛はむぎらんと呼者なり、一名いぼらん、〈土州〉まめらん、〈勢州〉朽木に生ず、一根一葉根は麦粒の如し、淡緑色、葉は石斛より短小にして光りあり、六月花お開く、白色形最小し、雀脾斛は花戸にてばくこくらんと呼ぶ、一名おさらん、紀州熊野山中に生ず、根長さ七八分、闊さ三分許、並び連ること十余にして筬の形の如し、当年の新根上のみに二葉お生ず、形石斛より大なり、六月花お開く、形色石斛に同して小なり、増、花戸にたうせきこく(○○○○○○)と呼ぶ者あり、茎短く葉円にして厚く茎も太し、花尋常のものより大にして白色なり、唐種と雲へども、出雲隠岐等に多く産すと雲、一種花戸に銀辺のものあり、茎葉共に痩小なり、へりとりのせきこく(○○○○○○○○○)と雲ふ、其他四季ざき(○○○○)、黄花せきこく(○○○○○○)、きくざせきこく(○○○○○○○)、まるばせきこく(○○○○○○○)等あり、品類甚多し、