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物類品隲
三/草
赤箭天麻 和名ぬすびとのあし、又たうかしらと雲、西国には希なり、関東には多し、茎の長三四尺、黄赤色にして葉なし、小薄皮ありて初め生ずる時茎お包み、長じて後茎に付てひれのごとし、蘇容所謂占茎微有尖小葉と雲もの是なり、茎の状矢のごとくにして赤し、故に茎お赤箭と雲、茎上数花お開く、大さ二三分許、茎と同色なり、根魁ありて横に出づ、形小児の臂のごとく、或は小子傍生すること芋子のごときものあり、其数定らず、又小子なきものあり、此物化生にして秋に至れば尽く朽るなり、故に他処に植て再び生ぜず、又実お植て生ぜず、本草に其実却透虚入茎中潜生土内の説等信ずべからず、東都産上品、一種黄白色のものあり、形状は異なることなし、