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重修本草綱目啓蒙
十二/湿草
三白草 かたしろぐさ(○○○○○○)〈和名抄〉 かたじろ(○○○○)〈大和本草〉 みつじろ(○○○○) おしろひか(○○○○○)け(○)〈鎌倉〉 はげせうぐさ(○○○○○○) はげせう(○○○○)〈泉州〉 はんげせう(○○○○○)〈勢州〉 はんげぐさ(○○○○○)〈備前〉 一名三葉白草〈酉陽雑俎〉 翻白草〈痘疹要訣〉水草なり、湖沢及大川の側に多し、陸地に移し栽るもよく繁茂す、春宿根より生ず、其茎円にして三四尺、葉互生す、形楕にして長く、薯蕷(やまのいもの)葉に似て尖らず、厚して深緑色縦道多し、切れば其臭馬兜鈴(むまのすヾ)の如し、五月半夏生の時、梢上の三葉のみ、面白色に変ず、背は然らず、故にはげせうぐさ等の諸名あり、其白葉の間に穂お生ず、長さ三寸許り、小花密につヾり、白色緑萼なり、花後細子お生ず、熟して苗枯る、根は枯れず、大さ筋の如し、白色にして甚だ繁延す、召武府志曰、土人毎歳候其初一葉白挿秧、至三葉倶白則為後時矣、増、一種琉球種の三白草あり、苗高さ二尺許、茎に七八稜ありて正円ならず、其色紫赤色、葉茎に互生す、その形牛尾蒿(しほで)の葉に似て、厚く大にして縦脈五道あり、面緑色にして背淡緑なり、半夏生の候に至ると雖ども、梢葉白色に変ぜず、希に一葉或は半片、淡白色に変ずることあり、夏に至れば脚葉悉く脱して、竹の状の如し、夏の末葉に対して穂お生ず、車前(おほばこ)の穂に似て長さ僅に二三寸、花実の形大抵尋常の者に同じ、根は白色にして節多く横行し、春に至てその節より新芽お生ず、