[p.1188][p.1189]
重修本草綱目啓蒙
八/山草
及已〈音以〉 ふたりしづか(○○○○○○) さおとめばな(○○○○○○)〈石州〉新校正にかたばみと訓ずるは誤なり、幽谷陰地に多くあり、春宿根より叢生す、茎高さ五七寸、或は一尺許り、三四節あり、その葉茎梢に二重に両対し生ず、葉の形ち紫繍毬(あぢさい)葉に似て鋸歯細なり、四葉の上に細茎二条お出す、長さ一寸余、白く小く円なるものお綴る、是れ其花なり、漸く緑色に変じ、漸く大に一分許となる、是その実なり、而して漸く葉間に下垂す、凡そ二穂お常とす、故にふたりしづかと呼ぶ、然ども瘠たるものは一穂、肥たるものは数穂及び十余穂に至るものあり、又一種ひとりしづか(○○○○○○)、一名よしのしづかと雲あり、此も宿根より生ず、共に冬月苗枯る、高さ五寸許、肥地のものは一尺に盈つ、形状は二人しづかに同じ、葉に光沢あるお異なりとす、此穂は一条のみなり、花は白糸の如きもの多くつき、穂の長さ一寸許り、ふたりしづかの如く、花円ならず、穂の幅は三分許りなり、実はふたりしづかに同じ、是及已の一種なり、