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農業全書
六/三草
麻あさおうゆる法、先たねおえらぶ事、白きが雄麻なり、白しといへども、齧て心みるに、かるくうるほひなきは粃なり、白く堅きおよしとす、これはいかにも良々田お好む物なり、中分以下の畠には作るべからず、いかほども深く耕しこなす事、力の及ぶほど塊少もなき様に、委しくこしらへたるにしかず、十耕蘿蔔九耕麻とて、九度も耕しこなす物と雲なり、又竪横七遍づヽ犂かきすれば、麻に葉なく本末なりあひて、節少もなく皮うすくながく出来ると雲へり、凡種子お一段に七八升ほど蒔お中分とするなり、厚過れば細くして長からず、薄ければ皮あらく枝さきて苧あしし、蒔時なげうつべからず、節高しと雲習はせり、地のぬれたるに蒔たるは、生じて瘠る物なり、地の白くかはきたる時蒔くべし、〈◯下略〉