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重修本草綱目啓蒙
八/山草
杜衡 かんあふひ(○○○○○) ちやうじやのかま(○○○○○○○○)〈越後〉 おけばな(○○○○)〈同上〉 ちやがまのき(○○○○○○) かげのあふひ(○○○○○○)〈共に城州鞍馬〉 さいしんあふひ(○○○○○○○)〈種樹家〉 ときはぐさ(○○○○○)〈同上〉 いしばさみ(○○○○○)〈勢州〉 つぼはな(○○○○) 一名〓香〈香譜、茴香同名、〉 金鎖匙〈附方、山豆根と同名、五雑俎に出、〉 馬蹄草〈同上〉 杜衡葵〈爾雅翼〉 馬蹄莘〈赤水玄珠〉 衡〓香〈楊升庵文集〉 〓〈同上〉 土杏〈正字通、品字揃、〉 鈸児草〈大倉州志〉 杜細辛〈集解〉山に多くあり、陰地に生ず、葉円に末尖り、茎の附くところかけて馬蹄の形の如し、大さ二三寸形円なるものあり、長きものあり、又苦蕎麦(みぞそば)葉の如きものあり、質皆厚し、冬お経て枯れず、一かぶに葉叢生す、茎紫黒色葉に白斑文あり、其斑数品あり、葉中左右相対して白き者あり、中央のみ白き者あり、葉後白きものあり、中央一線白き者あり、満葉細白条網の如き者あり、又全く斑なき者あり、是お種樹家にて細辛と呼は誤なり、細辛は葉薄し、杜衡は三四月花お開く、紫黒色此花お塩蔵にしてすいものにす、味淡し、花の形釜の如くして上に三弁あり、根は細辛より粗くして臊気あり、これお薬舗にて近江細辛又土細辛と名けて、細辛に充て貨る、真の細辛にあらず、一種葉小にして香気多き者あり、是集解所謂其臭如蘼蕪と雲ものなり、加州に産す、大さ八分許にして円く扁し、これお銭葉の杜衡と雲ふ、世に銭細辛と雲は非なり、