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東雅
十三/穀蔬
蕎麦そばむぎ 倭名抄に、蕎麦はそばむぎ、一にくろむぎと註せり、そばとは其三稜なるおいふなり、我国の俗、凡物の觚稜あるお雲ひてそばといふ、柧稜木おそばのきといひ、胡瓜おそばうりといふが如き即是也、其実の老て黒くなりしおもて、又くろむぎとも雲ひし也、〈今も工匠の詞に、木の稜お削造るおいひて、そばお取るなどいふは即此義也〉