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農業全書
十/薬種之類
大黄大黄是も医家に時々用ゆる薬種なり、うゆる法、一科おいくつにもわりて、地深にてよく肥たる畠お数遍耕しこなし置たるに、二月畦作り、菜園の如くし、間お一尺二三寸も広くうゆべし、糞幾度も多きにしかず、芸り中うちさい〳〵して、冬になりて掘取べし、肥地に糞し手入およくすれば、一年立にも取用ゆれども、二年おきたるは性も強し、土気お浄く洗ひ、葛か串につらぬき、干置て用ゆべし、是山城の長池などにて作る、唐の大黄たねなり、葉丸く厚くして、つはの葉によく似て、茎少あかく、甚ふとくさかゆる物なり、前々より有来る倭大黄とは、根のかたち少似て、隔別なる物なり、長池の土は、黒土の細沙雑(まじ)る深き肥地なり、