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農業全書
四/菜
菠薐草はうれん草は、蒔て月朔お過ざれば、生ぬ物といひならはせり、然るゆへに、月の廿日以後蒔ば、来月初早く生るなり、〈今心むるに、月朔に種て、月半に生ふるなり、〉蒔ときたねお土ともみ合せ、畦作りし、がんぎお少深くして蒔べし、八月早く蒔て、乾馬糞おおほひ、雪霜おふせぐべし、九十月さい〳〵水おそヽぎてうるほすべし、〈六月に地およくこしらへ、こえおうちてからし置、七月に蒔たる殊によし、◯中略〉冬春葉おかき取、春の暮に成ては、茎葉老てこはき時切とり、熱湯に漬、やがてとりあげさらし乾し、菜園の皆々枯たる時用ゆべし、