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農業全書
四/菜
地膚(はヽきヾ)〈はうきくさ〉はヽき草、葉お食にもし、あへ物あつ物種々料理に用ゆ、甫に畔作りしうゆるに及ず、屋敷の内、庭の端々よく肥たる所、又は菜園の道ばた、かきぎはなど、物の妨ならぬ所お見合せうゆべし、大小二色あり、南蛮帚とて、枝こまくしげきあり、又前々よりあり来る、枝のあらく木のごとく大く、甚さかゆるあり、二色ともにうゆべし、茎枝細くしげきは、しなやかにしてよけれども、茎よはくして、荒筵などおはくにはあしヽ、然るゆへに大きおもうへて、共に用ゆべし、切取時分、少々見合せあり、わかく青き内はよはし、おひ過ればはしかくて、おれやすし、秋実りて葉あかくなりたらば、早切べし、凡七月末より八月中頃切て、しばし外にさらして、後取入おき、帚に用ゆべし、子は地膚子とて、薬にも用ゆるものなり、子おとりたねにするは、九月の半霜のふるまでもおくべし、凡かようふの物、其出来の遅速によるものなり、時お定めがたし、