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甲子夜話
二十二
寛政庚戌の旅行に、美濃本庄駅お過ぐ、其路傍の民家に売物あり、左に図す、〈◯図略〉此物蘿蔔にて製る、長五六尺、一筋の大さ、まがひ糸お合せたる程なり、一把毎に四五十筋、上の方お束たるも亦蘿蔔の皮なり、甚見事なるものにて、其由お問に、去年此辺の禅寺にて始めてつくる、未其栽法お知る人無しと答ぬ、