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農業全書
三/菜
蕪菁うゆる地の事、若は家の跡、かきかべの崩跡などの古き土お好む物なり、其故床の下などの旧土お用ひて蒔糞とする事よし、いか程も肥熟したる地お耕しこなし、塊少しもなき様に委しくこしらゆる事大根に同じ、大根は久しく地お晒し置たるがよし、蕪菁は当時によくこなしてもくるしからず、灰糞お以て蒔べし、種子おほひいかにもうすくすべし、蒔たる上お鍬にて少しおし付るか、足にてかるくふみたるもよし、つよくふむは大きにあしヽ、雨の後などしめりたる時は其まヽ置べし、たねと土と思ひ合すべきためなり、うるほひつよくは蒔べからず、生出ては中うちすべからず、〈◯中略〉種子お収めおく事は、大根と同じ、是もうへ付はあしヽ、又多くうへて油にするも苦しからず、〈◯下略〉