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甲子夜話

神祖武州川辺御放鷹の時、小庵に立寄せ給ふ、住僧出て迎へ奉る、野僧の質朴や御意に協けん、御話の御相手となりて、頗御喜色なり、稍ありて僧申上るは、庵貧くしてもとより名もなし、翼は寺号山号お賜りたしと言上しければ、神祖其辺お見渡し玉ふに、檐に干菜(○○)お縄に貫て、その数十掛置たるお熟視し玉ひ、干菜山十連寺と称すべしとの仰にて、寺領の御朱印おさへ賜しとぞ、