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古名録
十四/野草
阿之奈都奈今案、古は遣唐使もありて、本朝薬お採用こと不誤見えたり、後世に至、〓にあしなづなお葶藶として、味微辛と啓蒙に強説おなす、あしなづなは辛味なし、即甜葶藶也、延喜式に葶藶おはまがらしと傍訓し、本草和名に波末多加奈と雲者は今俗雲るくぢらぐさ(○○○○○)也、此草海浜に多く生ず、故に鯨草の名あり、字鏡に波万太加奈在海浜と雲此也、秋後より苗お生じ、春に至りて葉薺葉の如くにして、岐細にして青、蒿葉の如く白お帯て軟也、春高さ二三尺に至り、茎円く葉互生し、梢に小黄花お開く、薺花に似たり、花後莢お結て海菜莢に似て細く小也、内に黄赤褐色の子あり、あしなづなの子に三倍す、味苦辛にして芥子の如し、即苦葶藶此也、