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剪花翁伝
一/二月開花
葉牡丹(○○○) 花菜の花の如く色黄也、開花二月下旬、方地土撰ばず、肥淡小便冬より春に至て、三十日許に二三度澆ぐべし、其後に油粕お置ば、芽のよく上るなり、〓(さしき)春花の前に根に吹たる芽お欠て、即時に〓(さす)べし、春の土用より立秋へかけて〓(させ)ば、根およく下す也、さて三歩さしの小便お度々澆げば、秋の末より冬にかけて、大の葉牡丹となるなり、秋より冬にかけて〓ば、活すれども、春に至て悉く花に成て、葉牡丹とならず、されど又四季ともに芽お撰び〓ば、皆大葉牡丹となる、此芽のえらびやうは、言筆おもて解得がたし、葉の形丸く厚し、葉茎共に色紫にして、少し青緑お帯たり、表面に白粉うすくかヽれり、若葉は内に屈み張て、全体上品の牡丹花のごとく、大なるは経八寸余あり、九月より葉の色紫になる也、四季ともに挿花にして雅也、