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閑窻自語
みせばやといふ草名語故民部卿入道為村卿かたられしは、今世にみせばやといへるくさ〈鎮火の種〉おうえもてあそぶ、これはかの卿の父、大納言為久卿の和歌の門弟に、吉野山の法師にてあなるが、奥山にて見侍りしくさとて、和歌おそへて贈りし、そのうたの句に、君にみせばやとの詞あり、これによりて見せばやとなづけおくよし、為村卿の返事ありしお、たしかにみられけるとなむ、