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重修本草綱目啓蒙
十二/湿草
火炭母草 詳ならずおしろひばなに充る古説は穏ならず、おしろひばなは遵生八揃に載する所の紫茉莉(○○○)なり、一名臙脂状、〈同上〉状元紅、〈秘伝花鏡〉春分子お下す、円茎高さ二尺許、枝四傍に繁布し、高く聳へず、節高く紅にして秋海棠の茎の如し、其枝葉両両相対す、葉円にして尖り、莧葉の如し、淡緑色、秋に至て枝の梢ごとに花お簇生す、夕に開き朝に萎む、形牽牛花に似て小く、五尖あり、内に長き蘂お吐す、其花深紅色なり、又白色紫色黄色あり、黄にして深紅間る者お花戸にて、きんげしやうと呼ぶ、花謝して円実お結ぶ、大さ三分許り黒色〓くして皺あり、打破すれば殻甚厚し、其内に白き粉あり、故におしろひばなと呼ぶ、根の形直長にして萊菔(だいこん)の如し、子熟すれば苗根共に枯る、然れども九州にては旧根枯ず、春に至て更に苗お生ずと、大和本草に雲り、