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倭訓栞
中編十九/波
はちす 蓮おいふ、荷も同じ、蜂窠の義也、西土の書にも〓在房如蜂子在〓窠と見えたり、古事記の歌にはなばちすとも見ゆ、花と実と一時に相具するもの也、歌にうき葉、たちは、なびき葉などよめり、まきはといふは捲荷也、蓮葉宴は光仁紀にみゆ、十二時蓮は天竺蓮也、群芳譜にいふ千葉蓮なるべし、近江の国田中の里佐々木の末葉今に是お所持せり、一茎数花にて其葩ちらず、茎に糸なし、此十二時蓮は梁武帝の仏式に出たり、又天竺蓮と称する別種あり、太平清話に、清水池在担州城東、其中四季荷花不絶臘月花盛と見ゆ、東国にむくげおはちすといふ、斉東昏侯好奢侈、以黄金鑿成蓮花列之於地、令妃番玉奴行其上曰、歩々生蓮花、