[p.0157]
重修本草綱目啓蒙
十九/柔滑
落葵 つるむらさき(○○○○○○) 一名紫草〈食物本草同名あり〉 紫果〈広西通志〉 染薑子〈丹鉛録〉 染緑子〈本経逢原〉 藤莙薘〈呉氏食物本草〉 繁葵〈授時通考〉 浮藤菜〈章州府志〉 蟳菜〈同上〉 架菜子〈物理小識〉 胡咽脂〈食物類〉山野自生なし、春種お下す、生出こと遅し、蔓草なり、葉は円尖にして莧(ひゆの)葉の如にして厚く光りあり、淡緑色互生す、藤蔓長して草木に纏ふ、夏の末葉間ごとに穂お出し、円小顆お綴る、白色白して頭に五弁あり、粉紅色、漸く大になりて実となる、緑色にして円扁、大さ三分許、竪にひだ多し、後紫色に変じ、熟して黒色となる、此汁にて物お染れば深紫色にして美なれども、久しからずして色変ず、実中に円〓あり、大さ一分余甚〓し、霜後苗根共に枯る、