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倭訓栞
中編二十二/不
ふかみくさ 和名抄に牡丹およめり、周茂叔の説に、牡丹花之富貴者也といへり、かみ〈の〉反きなれば、富貴草の義なるべし、一説に牡丹の名によりてふかにくさといふ成べし、みとにと横音通ぜり、牡丹は赤き花お主とすといへり、肖柏の発句に、春さかぬ花やこヽろのふかみ草といへるより、牡丹花と呼なせりとぞ、牡丹は和歌には春の季とすれど、連歌には夏の景物とす、春の末より夏かけて咲ものなり、