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草木育種
下/薬品
牡丹〈本草〉 和名はつかぐさ、〈詞花集〉ふかみぐさ、〈延喜式〉なとりぐさ〈万葉集〉といふ、山城にて多作、又大坂にて接(つぎ)江戸へ送、其類多し、秘伝花鏡に百三十一種お載、総て赤土に合肥お切まぜ植てよし、又砂お少し入たるもよし、接法は常の牡丹の砧(だい)へはす接にしてよし、群芳譜に牡丹八月接べし、又枝お〓(さし)て活といふ、〈◯中略〉肥は人糞お多土へ切まぜ、百日ほどねかし置て用べし、又猪屎(ぶたのふん)お用、又狗糞お用て妙なりと花鏡に見ゆ、然ども群芳譜に、牡丹猶忌犬糞と雲り、種樹書曰、牡丹花上穴如針孔、乃虫所蔵処、花工謂之気倉、以大針点硫黄末針之虫乃死、或百部草塞之、貝原花譜曰、牡丹冬至前後、鐘乳粉と硫黄とお末し、根お掘開て周囲に置べし、来春花盛なり、牡丹道知辺に小科(ひこばへ)お白子と名く、分植べしと雲、