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地錦抄

牡丹凡例牡丹は総体お九品に分て見るべし、九品と雲は、一位、二形、三色、四重、五実、六蘂、七葩、八葉、九木也、一〈に〉位といふに四等の分有り、一位未見、二位三位およしとする、四位ははふれたるとぞ、二〈つに〉形といふに五様あり、富貴、艶麗、厳格、乱雑、枯稿なり、富貴艶麗およしとす、三〈に〉色に二種有り、咲出あかみたる様なるは珠玉咲也、あおみたる様なるは碧玉咲也、珠玉咲は花に光りありてよし、碧玉咲は花につやなし、又是にたがへるもあるべし、酔あり、しみ有、えひしみ有るは上花の外なるべし、四〈に〉重は、五つ葩より十五葩にいたりて一重とす、廿葩より四十葩までお八重とす、四十五葩より百葩迄お千重とす、百葩の外万重とす、八重千重およしとすとぞ、五〈に〉実に形容大小高下赤白有り、白に黄白有り、銀白青白有、赤に薄赤、木瓜色、濃赤、薄紫、こい紫、黒色有り、形に瓶子有、実の首五つにわれ、七つにわるヽあり、白は銀白、紅はこいあか、小瓶子およしとす、芥子実鈴実共いふ、六〈に〉蘂はすべて黄なり、淡濃多少長短あり、黄にして少およしとす、七〈に〉葩は厚円薄欠有り、捏縮有、ひらめくつぼむあり、厚円にしてつぼむおよしとす、八〈に〉葉に大小長短頻縮弱垂円尖あり、其色紫碧淡濃あり、細長にしてつよきおよしとす、兼たる色およしとする、九〈つ〉木に強直なるあり、巻曲なるあり、のびやかにほそすぐ成有、すなおにのびやかなるおよしとす、