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採薬使記
下/甲州
重康曰、甲州御城中にて牡丹お見しに、甚だ大く木の高さ一丈五尺ばかりもあり、花は未だ見ずといへども、色紅にて年により百二三十輪も花お開くと雲ふ、誠に土地に応じたる故か、願くは此根お採り薬用にせば、其功甚効あらんことお、光生按ずるに、牡丹の大木となること所々にあることなり、摂州菟原郡熊内村と雲ふ所に、高さ一丈余の牡丹ありと、輿地通志にも載たり、又中華にもこれあるにや、湧幢小品にいはく、青城山に牡丹あり、樹の高さ十丈、六十年に一度宛花開く、永楽年中花咲し時、蜀献王使お以て見せしむ、即ち花お取りて帰りしと、広群芳譜にも引けり、