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大和本草
七/花草
芍薬 其花牡丹の次なり、故に花相と雲、詩経鄭風溱有篇に芍薬おのせたり、故に王元之芍薬詩譜雲、百花之中其名最古しと雲へり、薬には赤白芍薬共に、山中に自然に生じて単の紅白花さくお用ゆべし、世俗園中にうへて、花お賞するおば用ゆべからず、中華より来るは其形かはれり、花園にうふるは、中世中華より来れるなるべし、今世は千葉、単葉、紅白、其品甚多し、奥州河沼郡千笑(ちさく)原に、寿永年中越後の城四郎長茂、千根の芍薬おうふ、是によつて千笑原と雲、今に満原皆芍薬なりと雲、是亦自然生にあらず、昔うへしなり、王観芍薬譜曰、今芍薬有三十四品、日本に今所在は其数弥多してかぞへがたし、