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広益地錦抄

芍薬(しやくやく) しやくやくは花相(くはしやう)といふて、ぼたんに次り、はなに数百の品有て、二階(かい)三かいあり、金銀のもやうあるゆへ、金しで、銀しで、金手まり、砂金金盞(きんさん)などヽみな金銀の名あり、薬種の芍薬は各別の物なり、葉形草立も少似てちがひあり、花はひとへ小りん、川骨(かうほね)の花のごとくにて天おむきてひらく、ながめにたらず、秋実おむすぶ、其実われて三方四方へわかれ、内は皆朱にぬるがごとくに赤く、花よりまさりて見るにたれり、紅白の二種有り、紅の根は赤芍、白は白芍なり、