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甲斐国志
百二十三/産物及製造
一黄連〈和名加久末久佐〉 加賀、安芸、常陸、陸奥諸州より出る者名あり、本州四方の山皆あり、独得名こと晩し、就中白峯諸山及八〈が〉岳に産する者、色深黄にして光潤あり、味殊に温和なり、亦一種駒岳より出る者、長大にして甚美なり、相伝、此山は自古登る者なし、若犯て上る者あれば、忽有山鬼祟と雲、其実は巌骨高、嶮悪にして良材希なる故、仙人も無主山なれば、自ら此怪談お起せしなり、近頃偶攀る者あり、始て此物ある事お知れりとなん、唐山の書にも、倭黄連は上なりと見たり、