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重修本草綱目啓蒙
十三下/毒草
牛扁 伶人草(○○○)〈種樹家〉山中に陰地に生ず、葉一根に叢生す、形草烏頭(やまとりかぶとの)葉に似て色浅し、岐多く白点あり、夏方茎お抽で葉互生す、秋に至て高さ二三尺、花は穂おなして生ず、形烏頭(とりかぶと)花に似て小く、淡紫色又黄白色のものあり、花後小莢お結ぶ、又烏頭に似たり、この草享保年中、朝鮮より秦艽と名け渡す、故に今花家に誤て唐種の秦芄と呼ぶ、其花黄白色なり、然れども秦艽の葉は形長して薑葉の如し、漢渡秦艽中に雑り来るもの間(まヽ)あり又藜蘆の条下に、韓保昇曰、藜蘆似鬱金秦艽蘘荷等と雲り、これに拠る時は、秦艽葉は烏頭葉に似ざること明なり、伶人草の根は頭は内空しくして、羅紋ありて網の如し、其下に枝ありてねじれ末にては或数枝相合て一条となり、或は左或は右に糾、其形甚秦艽根に似たり、故に蘇恭の説に、牛扁根如秦艽而細と雲、伶人草根は皮黒肉は白し、乾けば微黒赤お帯ぶ、味苦薟、秦艽根は黄白色味苦し、古より牛扁おげんのしやうこに充つるは非なり、