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古今要覧稿
草木
あけびかづら 〈通草〉あけび、〈和名抄〉あけびかづら、〈本草和名、和名抄、〉あけびは朱実の義なりと、国史草木昆虫考にいへども、この実あかく色づくものにあらず、あけびはあけつびの省呼なり、歌にやまひめとよむも同意なるべし、山女の字お用、又ある人の曰、加賀の国にあけび村と雲処あり、一には赤日村と書、一には山女村と書り、山女の字お以てあけびと読事、いかなる義にや詳ならざりしに、或人越前の国へ行時、山中の茶店にやすらひ、菓子様の物お乞しに、外には何もなし、山おんなのみといへり、夫にても出すべしといへば、あけびの実お出せりと、これにて山女の字お用る事お解せしとぞ、