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重修本草綱目啓蒙
十五/蔓草
防己 あおかづら(○○○○○)〈和名抄、予州〉、 あおつヾら(○○○○○) つヾらかづら(○○○○○○) つヾらふぢ(○○○○○) ちんちんかづら(○○○○○○○)〈作州〉 ぴんぴんかづら(○○○○○○○)〈播州〉 めつぶしかづら(○○○○○○○) やぶからし(○○○○○)〈雲州、五爪竜と同名、〉やまかし(○○○○)〈薩州〉 はくさかづら(○○○○○○) むまのめ(○○○○)〈肥前実名〉 一名載君行〈本草蒙筌、根名、〉山野に甚多く、藤蔓至て長し、葉互生す、形女青(へくそかつら)の葉に似て厚く短毛あり、其形状一ならず、円尖なる者、楕尖なる者、三尖なる者、両岐深して牽牛葉の如き者、長葉の者、苦蕎麦(みぞそばの)葉の如き者、凡数十種あり、三四月新葉の間に小花簇り生じ、菝葜花(さるとりいばらの)の如し、後円実お結ぶ、大さ三分許、秋に至り熟すれば、黒色にして淡青粉あり、内に一子あり、薬鋪に藤蔓お採り売る、其車輻解(きくざ)細なり、根も亦同じ、是木防己なり、一種おほつヾらふぢ(○○○○○○○)と呼あり、一名つたのはかづら、ふそな、〈加州〉めくらぶどう、〈津軽〉深山中に多し、葉互生し、形円にして尖り、七つの粗岐ありて、つたもみぢの葉に似て至て厚く、深緑色、毛茸なし、大さ三四寸、形亦一ならず、円にして岐あらざる者、或は長葉なる者、或は三五尖なる者あり、皆一藤中にて数様に変ず、其根ふとくして処処に塊あり、車輻解あらし、是漢防己なり、木防己漢防己の分別の説一ならず、地お以て分つ説あり、陳蔵器は根苗お以て分ち、漢木二防己は即是根苗為名と雲ふ、本草蒙筌本草〓本経逢原、並に漢防己は是根、木防己は是苗と雲、此説に従ふお優れりとす、其苗お用ゆるには、つヾらふぢお上とす、根お用ゆるには、おほつヾらふぢお上とす、本草彙言、本草原始に、図するところの条防己是なり、舶来の防己根は、塊おなして小瓜の如し、闊さ一寸余、長さ二三寸、白色、これお切れば、其肌密にして輻解明かならず、本草彙言、本草原始に図するところの瓜防己なり、