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大和本草
五/菜蔬
罌粟 花単葉千葉紅白あり、種品多し、八九月に種お下す、単葉の白花に実多し、千葉なるは実少し、千葉なるお麗春花と雲、紅白紫淡濃品多し、游点斎が花譜に、此花の美なる事お詳にいへり、群花におとらず愛すべし、凡けしの苗わかき時、為蔬て食ふ、味よし、苗生じて後他土にうつしうへては不栄、実猶青き時根早く枯る、他草に異れり、又実お多く貯へ置て、炒て饘品に加へて美味お助く、日用の嘉蔬なり、肥土およくこやして和にし、種子お釜下の灰にまぜてまくべし、蟻不食、救荒本草曰、隔年種則佳、又曰、取米作粥、或与麪作餅皆可食、