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倭訓栞
前編二十九/末
まめ〈◯中略〉 豆は丸実の義なるべし、菽も同じ、今世祝賀の物とするは忠誠の義おとれり、通鑑集覧に、豆者真実の物ともみえたり、〈◯中略〉和名抄に烏豆おくろまめ、燕豆おそびまめ、珂孚豆おいちごまめ、〓豆おあぢまめ、豌豆おのらまめとよめり、そびは翡翠也、つばくらまめともいふ、又鶉豆あり、鶉の羽色したり、栗豆あり、紫褐色也、鞍懸豆あり、四辺白く中黒し、又八升豆あり、天竺豆あり、藤豆あり、葛豆あり、ともに藜豆の類也といへり、近来鶏豆あり、竜豆ともいふ、中の形状にて名く、豆は常の白豆也、夏豆は梅豆也、豆腐によし、痰きり豆は穭豆なり、狐豆ともいふ、たぬき豆は狸豆也、唐人豆といふは落花生也、