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大和本草
四/穀
大豆 凡五穀の内、稲につぎて大豆最民用の利多し、こヽお以農の多く種る事稲につげり、農夫土地の宜に随てつくる、其品多して窮尽しがたし、黄大豆(○○○)秋熟す、豆の類にして第一民用に利あり、近江州の産最佳し、夏豆(○○)は六月下旬みのる、早く熟して民食利用お助く、故に農夫多く種る事、秋豆につげり、黒大豆(○○○)大小あり、性味最よし、味噌にして味よし、豆淋酒の方、本草大豆の附方にあり、中風及産後に用べし、性よし、栗豆(○○)、常の大豆より大にしてまるく、色紫褐なり、味栗の如くにしてよし、醤油にて煮て果とし、村人味噌として食す、味美し、うづら豆(○○○○)、黒大豆より少大にして円し、まはりは黒くして、両方にうづらの文あり、山原にも所々間ひろくうふれば、豆甚多みのる、やぶ豆(○○○)とも野豆とも雲、春うふ、鞍かけ豆(○○○○)、両端白して中間黒し、馬のくらおおける形に似たり、葉まるし、黒大豆より大なり、以上三豆、漢名未詳、此外豆品猶多し、