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成形図説
十八/五穀
麻米〈古事記◯中略〉凡大豆に二種あり、其子白黄音黒(こおくろく)紫褐等十数色あり、一種お夏大豆(○○○)と雲、春植て秋熟るなり、色白し、一種お秋大豆(○○○)と雲、夏種て秋熟るなり、豆は本保食(うけもち)神の陰に生といふ、必陰地お喜めり、豆花日お見に宜しからざるおも知るべし、甫は赤土によし、うヽる地は浅く耕お習とす、汚萊(あれち)の草お土ながら打反しつヽ蒔入なり、〈◯中略〉梅豆(○○)は二月蒔て、四五月は既実成れり、故に嫩うちは莢ともに食料に充べし、熟るものは子お用うべし、秋豆(○○)は農民稲おうえ上りて、其後このものおうヽるなり、成実最多し、八成(やつなり/○○)豆(/○)は房生にして色は黄白なり、五月雨あがり畑にうえて、八月に熟く、下種(したたね/○○)豆(/○)は六月に蒔時、粟あるは野稲の中に併蒔入なり、故に下種と呼べり、十月十一月の頃収むべし、又何れの節ともいはず蒔てよく生ぬ、又虎彪豆(とらふまめ/○○○)、䨄鶉豆(うづらまめ/○○○)、奴僕(やつこ/○○)、鼻黒(はなぐろ/○○)などいふは、皆秋豆にして各其斑色に因て名る所、この他数十種あり、挙て識別(わけしるさ)ず、〈◯中略〉黒豆(くろまめ/○○)〈和名抄〉 鞍懸豆(くらかけまめ/○○○)、〈黒豆の中にて最大きく、馬の鞍置しに似たるなり、〉雁食豆(かりくひまめ/○○○)、〈黒豆の扁くて大なる者、雁好て之お食ふ、故に名とす、◯中略〉 黒豆は粒細し、一種大なるお碁石黒(ごいしぐろ)といふ、煮豆につかふ、〈◯中略〉青豆(あおまめ/○○) 青津豆(あおつまめ/○○○)〈俗言青ぢこち、又大青地豆、地は津と通ふ、赤地黒地などの地は、地と同く質お雲、◯中略〉 大豆にして縹色もの、粢の糝に用う也、此もの五月雨の出(あがり)に蒔べし、大青地子は粒太し、粉子豆(このこまめ/○○○)〈或雲黄乃粉豆なり〉 奈良茶豆(○○○○)〈此もの茶粥に入て味宜し、故に名く、〉褐豆(○○)〈綱目、色の褐なるによれり、〉 味噌醤油に造てよろし、其成実甚火し、農人作て益あり、小石(こいし/○○)豆(/○) 雪下(ゆきのした/○○)豆(/○) 零烏豆(○○○)〈本草〓言〉 粒の大さ大豆より小円(ほそまろく)色白し、但成実多きが故、農人喜て作れり、豆腐になしては煮がたく、又乳すくなし、