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庖厨備用倭名本草
二/菽豆
黄大豆 倭名抄に黄大豆なし、右の大豆おまめとし、黒大豆お烏豆とかけり、是又本草の一名なり、多識篇今案にまめ、元升〈◯向井〉曰、隻大豆とかきたるは、黒大豆お主として雲こと、本草の例なり、多識篇は本草にしたがふ、隻大豆とかきたるおまめと雲は、是れ日用の豆なる故に、日本の国例也、倭名抄は国例にしたがへり、二書ともに誤に非ず、然るにまめとは総名也、豆字お用ふ、くろまめ、しろまめ、あかまめ、のらまめ、そらまめなどの類なり、考本草、大豆に黒青黄斑の数色あり、黒豆は薬に入る、其黄白豆は炒りて食し、腐に作り、醤お作り、油おとり、盛に時の用おなす、元升曰、此の大豆は味醤醤油お作る大豆也、黄豆の苗高さ一二尺、葉は黒大豆の葉に似て大也、角おむすんで、黒豆角にたくらぶれば、やヽ肥大也、其葉わかきとき食すべし雲雲、