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成形図説
十八/五穀
阿豆伎〈◯中略〉小豆に亦春小豆、秋小豆、早晩の二種あること、大豆に異ならず、且小豆の同類なるも亦多なり、〈◯中略〉又夏小豆あり、麦の跡に蒔ては後れぬ、早麦の壟の中に蒔て、麦かりとりて即土お壅(よす)べし、或は菜葍蕪菁或は甘藷の下(あと)にうヽべし、植て六十日にして英吐(はなさき)、又六十日にして子熟、而莢の黒くなるお、随(そのまヽ)に、時々摘採べし、しかせざれば莢に黴して地に委去(おちさり)ぬ、八成(やつなり/○○)小豆(/○○) 垣(かき/○)小豆(/○○)此もの粒至て細く、色微緑なり、彼岸比播てやがて竹籬に引べし、地に施ては実よからず、子お結ぶ最衆し、熟なば速く摘収れ、蟹乃目(○○○) 馬韓小豆(はかあつき/○○○○)〈其子浅紫色、或浅黄色あり、形細長し、◯中略〉紫小豆(○○○)此もの瘠土樹蔭お択ず、巴に纏て能滋(さか)ふ、下品といへども其芸やすきが為に、今人多く作れり、されど皮厚く煮がたし、洗粉に作べし、又一種蔓に延ものあり、嶺岡にも作るべし、又此ものは霜降の節といへども、莢子の脱散ことなし、茎根共に抜き、一時に実お収(とり)おさむるなり、