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庖厨備用倭名本草
二/菽豆
緑豆 倭名抄に緑豆なし、赤小豆条下に、緑小豆といへるは、此緑豆なるべし、多識篇今案にふんとう、元升〈◯向井〉曰、関東にてはやへなりと雲、京師にてふんとうと雲、西国にてはふたなりと雲、考本草、三四月に種お下し、苗の高さ一尺ばかり、其の葉小にして毛あり、秋に至ては小花お開く、莢は赤豆莢の如し、粒あらく色あざやかなるお官緑とす、皮うすくして粉多し、粒小にして色ふかきお油緑とす、其用甚ひろし、粥おなし、飯おなし、酒おなし、炒食おなし、麨食し、磨して麪おとりて、水にたてすまして、粉お取て餌おなし、糕おなし、素麪お作るべし、食中の佳品也、又もやしおなして、菜中清潔の味也、又牛馬に与へてよし、真に済世の良穀也、