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重修本草綱目啓蒙
十七/菽豆
豇豆 さヽげ〈和名抄〉 大角豆〈同上〉 さヽ〈和方書〉藤蔓の長と短と二種あり、共に春月種お下す、時珍の説に、蔓長丈余、又長者至二尺と雲は、十八ささげ(○○○○○)なり、一名十六さヽげ、〈佐渡〉十六、〈東国〉ながさヽげ、〈南部〉なはさヽげ、ふろう、〈四国〉ながふろう、〈予州〉かきぶろ、〈同上〉もがり、〈遠州〉だらり、〈雲州〉漢名裙帯豆、〈時珍食物本草〉一名十八豇、〈常熟県志〉十八粒、〈恵来県志〉十六粒豆、〈丹徒県志〉是は莢長して一尺余になり豆多し、肥たるは十八粒あり、故に十八さヽげと雲、一種皮紅紫色になるは、救荒本草の紫豇豆(○○○)なり、一種三尺さヽげ(○○○○○)は、莢広く長さ二三尺にして柔軟なり、讃州にて三尺ふろと雲、時珍の説に蔓短と雲は、つぶさヽげ(○○○○○)なり、一名さヽげ〈土州、三州、〉はたけさヽげ、あづきさヽげ、みとりさヽげ、みさヽげ、〈雲州〉いらりこ、もりさヽげ、〈筑前〉料理さヽげ、はこざきさヽげ〈倶に同上〉さなり、〈備前〉ぢふろう、〈予州〉漢名擢豇、〈時珍食物本草〉これは蔓短くして畑中に栽ゆ、莢短して上に向ふて生ず、熟して豆お採食ふ、紅白黒斑の数品あり、斑なる者おやつこさヽげ(○○○○○○)と雲、一名にんぎやうまさめ、〈筑後〉げんぶくまめ、〈備前〉白豆にして黒斑ある者あり、赤斑ある者あり、倶に漢名花豇豆、〈授時通考〉又一種とうさヽげ(○○○○○)と呼ぶあり、一名いんげんまめ、〈江戸〉信濃まめ、〈伊州〉五月さヽげ、〈和州〉甲州ふろう、〈讚州〉江戸さヽげ、〈播州〉江戸ふろう〈予州〉銀ふろう、ふろう、まごまめ、にどふろう、〈共同上〉にどなり、〈勢州〉三度さヽげ、〈阿州〉ちやうせんさヽげ、〈肥州〉なたさヽげ、〈奥州〉かまさヽげ、〈丹波〉八升まめ、〈江州〉かぢはらさヽげ、ぎんさヽげ、〈越前〉仙台さヽげ、〈下総〉漢名菜豆、〈盛京通志〉これは苗葉扁豆に似て、早く莢お結ぶ、形扁くして長さ三四寸、未だ熟せざる時、皮お連て煮食ふ、熟する者はその豆蚕豆より小にして光沢なり、白紅黒十数色あり、其早く熟する者お栽て、再三豆お生ずべし、故に二度ふらう、三度ささげの名あり、