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重修本草綱目啓蒙
十七/菽豆
蚕豆 そらまめ(○○○○) やまとまめ(○○○○○)〈和州〉 なつまめ(○○○○)〈雲州、備後、〉 四月まめ(○○○○)〈阿州、土州、〉 五月まめ(○○○○)〈豆州、駿州、〉 あまめ(○○○)〈土州〉 とうまめ(○○○○)〈西国、濃州、〉  ふゆまめ(○○○○)〈相州〉 ゆきわりまめ(○○○○○○)〈下総〉 高野まめ(○○○○)〈予州〉 とうのまめ(○○○○○)〈筑前〉 てんじくまめ(○○○○○○)〈中国〉 のらまめ(○○○○)〈尾州〉 えんどう(○○○○)〈芸州〉 がんまめ(○○○○)〈勢州、遠州、◯中略〉秋月種お下し、翌年の夏に至て熟す、苗高さ三四尺、茎は方にして空し、葉は景天葉(べんけいさうの)に似て厚し、四葉一蒂、肥たる者は六葉となる、春葉間に花お開く、大にして白色黒点あり、墨色の如し、後莢お結ぶ、直立して生ず、故にそらまめと呼ぶ、形円にして指の如し、始は緑色、熟するときは黒色、其豆豌豆より大に、刀豆(なたまめ)より小さし、未だ熟せざる者、皮お帯て煮食す、熟する者は煮食し炒食す、或は仁お採て味醤に造る、一種黒粒の者あり、莢も黒し、一種咬〓吧(じやがたら)の産は豆小にして、蚕豆お二つにわりたる大さなり、葉形は同じ、是救荒本草に説所の文に合す、増、一種おほそら豆(○○○○○)、一名おたふく豆と雲は、甚肥大にして、闊さ六七分、長さ一寸許、即西湖志の王墳豆なり、西湖志雲、王墳豆、紫桃軒雑綴、南屏山召皇親墳左側、有地産蚕豆、顆大而味鮮、杭人呼為王墳豆、細註雲、汪懋麟酒舎詩、酒舎争伝段七嬢王墳小豆摘新嘗、春残花事都無了、別有幽芳出院墻、