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農業全書
二/五穀
刀豆なた豆是お刀豆と名付る事は、劔の形に似たる故なり、三月初うへ、灰にておほひ、古き筵ぎれ、其外何にても此類のくさり物など覆おくべし、又種やう、冬より穴おほり、こえ土お入置、春になりて一粒づヽ、目の方お下になしてうへ、少土おかけ、灰にておほひ、土おほくかけず、其上にふるきざうりの類、何にてもかるきものおおほひ置、五七日の後は去てよし、めだち出、根葉少生ずるお見て、糞水おそヽぎ、つる長くなるお待て竹お立、是にまとはせ、又籬おゆひ、かきにはヽするもよし、風にうごかぬ様につよくすべし、うごけばおほく実ならず、是又肥地に糞お多く用ゆれば、過分に実なる物なり、但かきに種るには、其間お近くうゆべからず、