[p.0281]
草木育種
下/果
落花生〈典籍便覧〉 香芋(かうう)〈花鏡〉とも雲、和名とうまめ(○○○○)、又長崎にてなんきんまめ(○○○○○○)といふ、紀伊国にて多作、野土、黒ぼくに砂まぢりの山畑にて、陽地へ植べし、冬中畑へ灰人糞おまぜ耕置、別に代お拵、落花生の莢お割て、豆ばかり浅く植、葉お生じて畑へ移べし、相応の地なれば、畑へ直に蒔付てよし、植たる囲へ籾糠お切まぜ墾たるがよし、葉の間より根お下し、土中に入て莢お結ゆへ、土は柔なるがよし、十月根廻お遠ほりて採べし、水にてよく洗、二日程乾、紙袋に入て、風のあたる所へさげ置、炒て食し、又挽て粉にして、餅などにかけ食へば香く味よし、脾胃お補効あり、