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大和本草
八/蔓草
紫藤 葉わかき時食ふべし、花は春の末より四月にさきかヽる、花の長三尺にみつるあり、其実お炒て酒に入れば酒敗れず、敗酒に入れば味正くなる由、本草にいへり、又藤の枯んとするに酒おそヽげば活す、花瓶に紫藤おさすに、酒お加れば久しく萎まず、酒毒お解するに藤の花生にても、かげ干にしても服す、酒醋の衣服器物に付てかびたるに、ふぢの花お用てすればおつる、酒と互に相助る事奇異なり、是亦本草に出たり、一本より苗多く生ずれば長じがたし、一条おのこして余は切べし、