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剪花翁伝
二/三月開花
藤(ふぢ) 花紫白、開花三月末より四にかけて咲、方日向、地湿土えらばず、肥大便寒中、平日は入るに及ばず、株尋常の花は、春彼岸に蔓お地中に伏、根生じて後切放ち取るもよし、又同節に株お取分るもよし、名物の花は多分盆栽、或は棚に懸登せありて、取木になしがたし、故に勢ひよき株おもて、寄接(よせつぎ)になすべし、因にいふ、河州刈田村の庄官が母屋子宅、両家共に庭中なるは房長きこと、五六尺におよべり、近世の名賞也、