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翁草
三十九
宮城野の萩は木萩にて、灌木のごとく、尋常の草萩とは異にして、弓などに作る樹也、また本あらこ萩といふは、梢に青き枝生出て、其枝に花咲ゆへ、本のあらはれざると雲下略歟、宮城野の本あらこ萩露おもみ風お待ごと君おこそまて、一山萩は北国の山中に有木也、花は白或は白紫咲分抔有、其大なる物は凡の桂に成べき程の木也、又四国の山には南天の大木有、倶に幾内辺の人は異也とす、